熱帯魚の病気「エロモナス感染症」を知ろう
熱帯魚の病気のひとつに、エロモナス感染症があります。これは細菌性の病気であり、このエロモナス感染症にかかると、
・鱗(ウロコ)が立ったようになり、身体が膨れる(立鱗症状。松かさ病とも呼ばれます。)
・腹部が膨張する
・魚の泳ぎ方が曲がったり、直立を保てなくなる
といった症状が現れます。
管理人の飼育する熱帯魚、金魚たちにも度々経験のある病気です。
細菌であるエロモナス菌は、もともと魚の腸内に存在している細菌です。そのため、エロモナスが原因で魚の体調が崩れるということは、魚体自体が何らかの弱りを受け、細菌であるエロモナス菌が症状を発症させると言われています。
特に、われわれ飼育者の飼育行動がエロモナス病を発生させてしまうことがあるのです。
エロモナス病について理解を深めましょう。
エロモナス感染症とは?
エロモナス感染症とは、先にお伝えした通り、熱帯魚の身体に普遍的に存在するエロモナス菌により体内が感染し、発症する病気です。
この菌は、鞭毛(べんもう)を持ち運動をおこなう「運動性エロモナス」と鞭毛のない「非運動性エロモナス」に分かれます。
いずれも、感染を起こすと熱帯魚の個体に相当のダメージをあたえ、生死を左右する闘いになります。そのため、一度かかると治療がとても困難な病気です。
エロモナス感染症の症状
・鱗が逆立ち、身体が松かさ(松ぼっくり)のように、カサカサした状態になる
・鱗の下に分泌液がたまり、腹部が膨張し、体表が赤く充血してくる
・ポップアイ(目玉が外側に隆起してくる)
これらは運動性エロモナスにより、発症するといわれています。
エロモナス感染症を引き起こす要因
・水槽内の環境悪化
・急激な水温低下
・ストレス
運動性エロモナス症について
エロモナス・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila)という菌に感染することで発症します。25℃~30℃付近で活動的になります。
非運動性エロモナス症について
エロモナス・サルモニシダ(Aeromonas salmooicida)という菌に感染することで発症します。
20℃付近の温度で活動的になります。運動性エロモナスと比較し、活動温度は低めです。高目の温度を苦手としています。
エロモナス病の治療方法
薬浴による治療
エロモナスは細菌のため、これに対応する薬を用いた治療を行います。薬浴期間は、薬剤の種類や濃度にもよるのですが、合計10日前後程度(薬浴期間5~7日、換水期間を1日に3分の1程度×3日間とし、計10日間)で一度魚の様子を見て、終了か継続か判断しましょう。
【市販されている代表的な治療薬】
・エルバージュエース
・グリーンFゴールド
薬浴期間中の注意点
・換水は環境変化のストレスを与えるので、薬浴期間中はなるべく控える。
(換水を控えるためには、ある程度の水槽サイズで行う。フンや餌の投与による水質変化の影響を緩やかにするため)
・餌(エサ)やりは、毎日行わず、2~3日に一度程度にする。残った餌(エサ)はすぐにピンセットなどで回収する。
(水質悪化を防ぐため)
エロモナス感染症を引き起こさないために飼育者が注意すべきポイント
エロモナス感染症を防止するためには、飼育水の悪化を防ぎ、適切に換水をすることです。しかし、ここで注意すべきなのが、「清掃時のやり方」と「換水の温度」です。
これらは、「魚のストレス増加」を引き起こす要因です。魚にストレスを与えてしまうと、免疫力の低下につながります。これらは、エロモナス病をはじめ、さまざまな病気を誘発させてしまう事につながります。
■清掃時の方法
魚を驚かせないように、ガラス面や器具の清掃などは荒っぽくせずに、静かに素早く行いましょう。水面が荒く波立つ清掃や、長時間人間の手が水槽内に入ることがないように、清掃するように心がけましょう。
特に、水換えの際など、底床の汚れを取る時など、ソイルや砂の上に蓄積した汚れを極力巻き上げないようにすることも大切です。
■換水の温度
換水の温度は特に気を付けるべき点です。換水の温度が低い場合、魚は体調を崩してしまう可能性があります。熱帯魚は、高い水温へ移動するほうが体調を壊しにくいと言われています。しかし、低い場合は体調への支障をきたしやすいのです。また、熱帯魚飼育に用いられる水温計も、1℃程度の誤差はあるようですので、こちらも温度変化を拡大する一因になっている可能性があります。
換水時には、温度が低くないように注意して水換えを行いましょう。
エロモナス感染症は、一度かかってしまうととても治りにくい病気です。一番大切なのは「感染させない」ことです。このことを念頭に置いて、日々の飼育を心がけましょう!